
万里江の様子がこの頃おかしい 妙にはしゃいだりしていながら 突然ふさぎ込む 情緒不安定だ
好きな人ができたのなら すぐに私に言う筈だし 少なくともこれまではとは違う雰囲気なんだ
万里江は男にモテる子 たいがいの男は彼女に惚れる 頭が良くて明るいし上質の色気もそうだが
不思議な魅力を感じさせる ずっと万里江を見てきて思うのは 彼女は凄まじい孤独の中にいる事で
万里江の家族をよく知る人が 彼女の不幸な子供時代を教えてくれたが 兄に性的な暴行も受けていた
兄といってもまだ小学生なのに 両親はいつも留守ばかりで 変質者の兄の餌食にされていたんだ
不在がちの両親も揃ってろくでなし 万里江が独り広いリビングに何時間も座っていたのを覚えていた
万里江 もっと自分を大切にすれば? 好きでもないのに 言い寄ってくる男の子と寝るの辞めなよ
あたしは相手の希望を叶えただけよ 結局はやりたいだけなんでしょうからさ そうかしらね?
そうじゃない男の子が 傷付いてもいいわけ? 傷付くのが嫌なら なんですぐズボン脱ぐのよ
そういう事は断ってから言うものよ それもそうだわと ちょっと可笑しくはなったけどさ
万里江にもいつか 本当に好きな人が現れるといいね ちょっと気になった人もいたけど私なんか
相手にされないわよ いいのよ あたしは好きにやってくわ 嫌気がさしたら死んじゃえばいいだけ
迷惑はかけないからさ もうそんな事言って これはいつの日か笑い話にならなきゃいけないわ
それまでは生きててよ いい事だってきっとあるんだからね